俺には才が無い。
だが、俺の周りは、才ある者で溢れている。
秋房、魔魅流、そしてゆら。
ああ、おまけで破戸と雅次も入れてやろうか。
これだけの様々な『才ある者』が同時代に生まれたのは、決して偶然ではない。
狐狩りの為の、必然というものだ。
だが、俺には才が無い。
花開院家の歴史が、それを証明している。
単純な事なのだがな。皆、それが解っていない。
まあ、解らないなら解らないで、今はそれでいい。
秋房義兄さんが私に謝りに来た。辛い思いをさせたと。
皆にも謝ってた気がするなぁ・・・ほんま、律義なんはいいんやけど、疲れへん?
ま、そこが秋房義兄さんのいいところなんやけどな。
・・・うん、竜二兄ちゃんは、誰よりも才があると思う。
せやないと、私や魔魅流君相手に特訓なんて出来る訳無い。
秋房義兄さんに勝てる訳無い。
でも、違うんや。そういう意味で竜二兄ちゃんは『才が無い』って言っとるんとちゃう。
何で誰も解らへんの?
何で?
ゆらに謝り、竜二の事を褒めた途端、ゆらの様子が何かおかしくなった。
そこまで仲が悪かっただろうか?いや、そんな筈はない。むしろその逆だと私は思っている。
違う?何を言っているんだゆら。竜二ほど才のある者はいない。
『生きる』才が無い・・・その言葉に、私は絶句した。
そうだ、何故忘れていた?
本家の男子は必ず早世する。竜二とて例外ではない。
だが何故か竜二はまだ生きているのも事実だ。
子どもの時に死ななかったから、例外だと思ってしまったのか?
竜二・・・私はお前の事を、何も解っていないというのか。
憎まれ口きいて、才が無い言うて。
・・・はん。死んだら
『嫌な奴が居らんようなって、せいせいしたわ。』と言うたるわ。
『ホラ吹きが居らんようなって、静かでええわ。』って・・・
それがお兄ちゃんの望みなんやろ?
あのホラ吹き兄き、絶対そう言って思いっきり泣いたんねん。
何でも思い通りになると思うたら、大間違いや。
シーン描写一切無しという無謀な挑戦をしてみました。
いや、文が短くなる短くなる。
ある意味書きやすかったのですが、訳が分からなくなってしまっているのではないかと心配です。
「才が無い」の件は、この話を書くための管理人の勝手な解釈ですので、その点ご理解下さい。
しかし、どうも私の中での竜ゆらは、こんな感じになってしまっているようでして。
いつかドッカンとギャグで描きたいものです。