リクオが鬼童丸を撃破し、猩影もまた勝利を確信したその時、地鳴りと共に、突然床がせり上がり、巨大な何かが浮上して来た。
「危ない姐さん!」
猩影はすぐ側にいたつららを庇おうと動いたのだが・・・目が点になり固まってしまった。
つららの側には、つい先ほどまで羅城門に上って戦っていたはずのリクオがいた。
それも、しっかりとつららを守って。
「え?あれ?何で?」
あまりの出来事に、今の状況すら忘れて口をあんぐりと開け、二人を指差し凝視してしまう。
「おい、お前あぶねぇぞ!」
淡島の声にハッとなり、猩影は慌てて黒い塊を避けなんとか難を逃れる。
追われるままに逃げていった先には、今はあまり会いたくない二人がいた。
「おう、猩影。良くやってくれたな、助かったぜ。」
「え?ええ、はい。」
猩影の姿を見て、リクオがニヤリと笑いかける。
「お前が側にいてくれたおかげで、つららが何処に居るか直ぐに分かったからな。」
「は?」
何を言っているんだこの人は・・・まさか・・・
猩影の心の中に、嫌な予感がよぎる。
「あの・・・もしかして、俺でなきゃってのは・・・」
「ああ、お前は何処に居ても目立つからな。」
つらら姐さんは背が低いから、紛れて見失う事だって十分考えられる。
だが、確かに俺なら、そう簡単に見失う事など無いだろう。
例え見失っても、すぐに見つけることが出来るだろう。
つまるところ、俺はただの目印だったって訳で・・・
「悪ぃな、こいつを守るのは、俺の役目なんだよ。」
そう言ってもう一度ニヤリと笑うと、リクオはギュッと見せつけるようにつららを抱き寄せた。
こんな・・こんな奴の組の傘下なんか・・・
ぜったい抜けてやる!
そう思った俺の心に、嬉しそうに頬を赤らめたつらら姐さんの顔が止めを刺した。
猩影に合掌(笑)。
即座に嫁を守っていたリクオに驚いていた訳ですが、こういうのがあったら面白いなー、と思いまして。
で、このオマケのシーンを書きたくなって、あれこれ妄想して書いていたら、この作品が出来ました。
二人は戦闘中でも周りが引くほどイチャついていればいいのです(笑)。