夜、ストーカーはこうして撃退された

カーン!カーーン!


夜も更けた錦鯉地区の境内に、甲高い音が響き渡る。
よく見てみれば、夕方に作られた『氷のイリュージョン』であったはずの氷の巨大な柱に、二人の人影が張り付きノミを振るっていた。

「ちくしょう!こんなの終わる訳がねぇ!」

「そんな事言ったって、やらなきゃ帰れないじゃないか、牛頭丸~~~。」

二人の影・・・牛頭丸と馬頭丸は、リクオに命ぜられ、ここで暴れた妖のバックを探る為に、氷の中から妖の体を取りだす作業を命じられていた。

「あの野郎!こんな所にまでノコノコ出てきやがって!」

「それは牛頭丸だって同じじゃないか~~。
 まったく、二人って案外似た者同士なんじゃないの?」

「なんだとぅ!!この馬鹿馬頭!!」

牛頭丸は砕けた氷の欠片を馬頭丸に投げつける。
ゴンッと音がして、馬頭丸の被り物の骨がずるりとずれ落ちそうになった。

「何するんだよう、牛頭丸!痛いじゃないか!」

「いいからさっさと終わらせっぞ!」

「うう~~~。
 ねぇ~~~~、明日にしようよ~~~。吹雪いてきたよ~~~。」

「五月蠅ぇ!!文句言う暇があったら手を動かしやがれ!!」


カーン!カーーン!


一晩中、その音は響き続けたという。

 

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