つらら「リクオ様もいつまで挟まっておられるのでしょーかぁ!?」
リクオ「違うんだよつらら!」
毛倡妓の胸に挟まっていたリクオに、つららが声を荒げている。
それを慌てて言い訳する様を見て、首無が誰となく呟いた。
首無「うーん、昔デート中に、給仕をしている彼女に会った時の事を思い出すね。」
河童「え?デート中の彼女が給仕?」
首無の呟きに、河童が不思議そうに答える。
リクオはつららの矛先から逃れるために、その声に飛びついた。
リクオ「どういうこと?もしかしてそれって妖怪?」
それと同時に、後ろ髪引かれる思いで毛倡妓の胸の狭間から脱出し、首無の正面になんとか体をねじ込む。
首無「いえ、人間ですよ。」
リクオ「え?でもじゃあなんでそんなことが・・・」
河童「ああ、そういうことかー。首無ってほんと、女たらしだよね。」
リクオ「え?え?」
リクオにはまだ何のことか解らず、首無と河童の顔を交互に見つめる。
毛倡妓「首無、あんた『別の』が抜けてるわよ。
でもさぁ、首無でも慌てる時期があったんだねぇ。」
首無「そりゃまあ、ずいぶん昔の話だからね。」
青田坊「なんでぇ、結局自慢話じゃねーのか?」
そこに毛倡妓と青田坊まで加わり、昔話に花を咲かせ始めた。
ちなみに、解説すると『昔デート中に、給仕をしている別の彼女に会った』という事である。
そんな中、一人昔話に参加もせずに、つららは自分の胸を見ながらぶつぶつと呟いていた。
つらら「私だって、元の姿なら多少は・・・出来ない事もないのよ。
着物だから見た目分からないし、そのままじゃ出来ないだけで、これでもけっこう・・・。」
なんとも怪しげな発言である。
みんなの話に入っていけないリクオが、そんなつららにふと気が付く。
リクオ「どうしたの?つらら。さっきからぶつぶつ言って。」
つらら「ひゃあ!な、なんでもありません!
雪でかさ上げしようかなーなんて、ちっとも思っていませんよ!!」
リクオ「何をかさ上げするのさ^^;。」
リクオには何の事だか判らなかったのだが、つららは自分の考えていた事に恥ずかしくなり、顔を耳まで真っ赤に染める。
つらら「うぐ・・・、気になさらないで下さい!
本当に何でもありませんから!」
リクオ「つらら、声が大きいよ。」
つらら「は、はい、すみません・・・。」
顔を赤らめたと思ったら、今度はしょぼーんと落ち込むつららの顔変化に、リクオは思わず吹き出してしまう。
つらら「もう、なんですかリクオ様。笑わなくてもいいでしょう?」
リクオ「アハハ・・・ごめんつらら、なんだか可笑しくって。」
そんな二人を、他の護衛達は温かく見守っていた。
首無「青春ですね。」
河童「んー。」
毛倡妓「雪でかさ上げねぇ。確かに雪女じゃ、やっても気付かれないわね。
上手い事考えるじゃないの。」
首無「いや、そこは感心する事じゃないと思うよ。」
青田坊「ふむ。雪女は、若は大きいのが好きだから悩んでいる、という事だな。」
河童「雪女も大変だねー。」
青田坊「俺も大きい方がいいからな。」
毛倡妓「あんたの好みなんて、どうでもいいでしょ。」
首無「いやいや、別に若は大きいのが好きだ、と決まったわけではないだろう?」
河童「そだね。今度確かめてみよっか。」
青田坊&毛倡妓「「どうやって?」」
河童「若の部屋に、どういうタイプの本があるか探してみるってのはどう?」
首無「それは面白そうだが、二人の目を盗むのは大変そうだな・・・」
・・・・
その実、単にリクオとつららの話題で遊んで、楽しんでいるだけの護衛達であった。
電車での若のムッツリスケベっぷりに笑った話でしたが、その後にこんな話が展開されていたら面白いな~と思って作った話です。
この手のネタは、けっこうありふれた感じがしますよね~。
もし似たネタがあったら、作られてた方御免なさい。
ちなみに、『二人の目』というのはもちろんリクオとつららの二人です。
つららはよく若の部屋に居るはずだからw