「そいつが超絶美人の友達ってやつかい?」
「紹介しろよ~。」
二人の世界を作り上げていたリクオとつららに、淡島に土彦、そして雨造が声を掛けてきた。
「友達?私がですか?」
「へぇ~~~、やっぱりあんときは嘘ついて隠すつもりだったんだな?ずるいぜリクオ。」
「そうだぜ、こんな美人がまぁまぁだと?」
「独占欲が強いってのも考えもんだなぁ~。」
「え?え?」
そう言いながらつららを囲み、まるで品定めするかのように遠慮無くじろじろと見る土彦たち。
その様子にリクオはムッと腹を立て、つららを隠すように自分の懐に寄せて3人を睨む。
「いや違うって、友達ってのはあっち。こいつはただの部下だ。」
そうリクオは言いながら顎でゆらの方を指す。
「え?あれが?」
「う~~ん・・・」
「うほっ、いいじゃねぇか。」
「「そうか?」」
好き放題言いながら、ゆらを遠目で品定めする土彦たちにほっと息を吐くリクオだったが、懐からとつぜん強い冷気が漂い始めたことに、ギクリと顔を強張らせる。
「おい、つらら。冷てえぞ。」
「あら、申し訳ありません。」
口ではそう言いながら、冷気はますます強くなるばかりだ。
そんなつららの態度に、リクオは腹を立てる訳でも不思議がる訳でもなく、だんだんと落ち着きが無くなっていった。
「なぁ、何を怒ってんだ?」
「別に、何も。」
つい、と顔を背けるつららに、リクオは回り込んで肩を掴むと、正面からつららの双眸を覗き込む。
「なぁ、久々に会えたってのに、顔を背けることはねぇだろ?」
「・・・っ、何を言っているんです。ただの部下がリクオ様の顔を間近で見るなど、畏れ多い事だと思っただけです。」
つららの顔が一瞬赤くなったが、すぐに平静を装い再びリクオから顔を背けた。
「な・・・・あ、あれはついとっさに言っちまったことで・・・。」
「とっさに出る言葉には本心が現れるものだと聞きますが?」
「そんなんじゃねえって。俺が本気で・・・」
「お~~~い、リクオ。な~~~にやってんだ~~~~。」
痴話喧嘩にしか見えない話を繰り広げているリクオとつららを、いつのまにか土彦たちにイタクまでもが加わって取り囲んでいた。
「な、なんだよ、今大事な話をしているんだ。お前らあっちいけ。」
「ぎゃははは、こんな大っぴらに大事な話か?」
「いいからあっちに行けって!」
「そんな事いっていいのかな~~~リクオ。ほれ、これ見てみろ。」
「んなっ!?」
土彦が懐から取り出した写真を見た途端、リクオは目を大きく見開いて慌ててその写真を取り上げようとした。
「おっと、そうはいかねぇぜ。」
「てめぇ・・・!」
「うおっ!?ここで畏れをつかうか!?」
突然消えたリクオに慌てて手を引っ込めた土彦だったが、既に写真は土彦の手から消えていた。
「ねぇ、何の写真か見たいのだけど?」
リクオの慌てぶりに何か感じたのか、つららはさらに強い冷気を周囲に放ちながら誰となく呟く。
もちろん相手は見えなくなったリクオだろう。
「おう、ネガは俺が持っているからな。ほれ、焼き回しした奴だ。」
ひょい、とイタクがつららに写真を手渡した。
その途端に『すてーーーん』とリクオが姿を現してすっ転ぶ。
「まてまてまて~~~~~!!お前が撮ってたのかよ!!」
「ふ・・・実は俺は写真が趣味でな。遠野の景色は美しいぞ。」
そう言いながら、イタクはさらにもう一枚同じ写真を懐から取り出した。
「遠野の写真じゃねぇだろ!!」
「いや、一部はそうだ。」
「なんだよその屁理屈!!」
「・・・リクオ様?」
イタクに組みついていたリクオが、体をビクッと震わせ硬直すると、恐る恐る声のした方へと振り返った。
びゅおおぉぉおおおお~~~~
そこには吹雪を身にまとったつららの姿があり、その瞳は怪しく光っている。
手に握られた写真には、リクオや土彦、雨造、そして淡島が写っていた。
それだけなら大した問題ではないのだろう。
だだ、それが問題になるのは、場所が風呂場であり、しかも全員湯につかっている時の物だという事だ。
もちろん淡島が女性である事がはっきり分かるようなアングルで撮られている。
イタク会心の出来の写真だと、土彦たちの間では評判だ。
「待て!つらら!話せばわかる!!」
「おい皆、野暮は止めて二人きりにしてやろうぜ。」
「見捨てんのかよ!!」
あまりにも予想通りの反応に、この先の事を思いニヤニヤしながらリクオから離れるイタク達。
「リクオ様・・・?」
「・・・な、なんだつらら。」
ビクッと反応してしまう所がなんとも情けない。
もしこれを鴆に見られたら何と言われる事やら・・・と思う所もあるが、リクオとしては悪さが過ぎて本気で怒られた数々の過去の経験が、今となっては条件反射にまで到達してしまっているのだから仕方がない。
「一つだけ先に言わせてくれねえか?これはだな・・・」
「リクオ様!」
リクオの言葉を遮るつららの言葉に、リクオは黙ってゴクリと唾を飲み込み思わず身構える。
「私も一緒にお風呂に入ります!」
「はい?」
つららの言った言葉の意味が直ぐには解らず、思わずリクオは間の抜けた声を出してしまった。
半端な所で終わってしまいましたが、いい区切りが見つからなかったのです。申し訳ありません。
思考の鈍った頭で考えると、こうまで妙なものを考えてしまうのかと自分でも笑うしかないですね。
イタクがかなり変な子になっています。イメージが壊れた方がいたら申し訳ありません。これはあくまでギャグなので許して下さいね。
この続きはもっと変になっていきます。私の脳みそって、こういう風に出来るいるのかもしれません(笑)。