あなたの誕生花 ~その夜

その日の夜。
布団の脇で胡坐を掻きながらキセルを咥えたリクオが、自分の傍らに横たわっているつららの髪を、すくい上げては自分の膝の上へと掛けさせていた。
自分の脚に直接感じるさらりとした髪の感触に目を細めながら、リクオはふとつららに問いかける。

「なぁ、つらら。結局、俺の誕生花って何だ?」
「・・・え?・・・ああ、はい、リクオ様。」

けだるそうに体を持ち上げリクオの方に向きを変えたつららが、半ばボーっとしながらリクオの脚の上に手を置き、ニッコリと微笑みながら答える。

「彼岸花です。・・・花言葉は、『情熱』『悲しい思い出』だったと思います。」
「へぇ・・・俺にもぴったりだな。」
「はい・・・。」

ひんやりとしたつららの手の感触に、背筋にぞくりと走るものを感じて、リクオは自分の膝の上に重ねられたつららの手を取ると、ぐいっとその体を引き寄せた。

「わ、若!?」

ようやく今の状況を思い出したつららが、顔を赤く染めリクオの顔を見つめる。
リクオはしばらくの間、怯えの色を含む金色の瞳に見惚れ楽しむと、ニヤリと笑いつららの耳元に口を寄せて囁いた。

「誘われちゃあ、黙っている訳にもいかねぇよな?」
「別にそういうつもりでは・・・きゃあ!ちょ・・・リクオ様!?」

 

結局つららは、その夜自室へと帰る事は出来なかったらしい。

 

 

 

 


あれれ?なんか色っぽくなっちゃいました。
というか、もっと怪しい展開になる所でしたが、何とか理性のブレーキがかかって、ギリギリセーフ・・・かな?
あまりブレーキかかってないかも(笑)。
どんな罰が行われて、そしてどういう展開で『その夜』になったのかは、皆様のご想像にお任せします(^^)。

時期的には京都編の後、という事になるので、「若」や「若頭」ではなく「三代目」と呼ぶのが正しいのかもしれませんね。
黒羽丸が強引に止めなかったのも、既に妖怪としては成人しているからなのです。

このネタは、妖秘録でリクオの誕生日を知った時、私が誕生花を間違って『ナンバンキセルか~、合って無いよね~。』と勘違いしてしまった事が始まりです。
で、調べてみると寄生植物なのでネタにできるな、と思ってプロット作った所、後日もう一度調べてみると間違っている事に気がつきましてね。
ここはつららにも間違ってもらう事にしました(笑)。

ただのギャグで終わるつもりだったのですが、どうしてこうなったんでしょうかねぇ。
やはり最近の夫婦っぷりが凄過ぎて、普通に書いたのでは満足できなくなってしまったのかもしれません(笑)。

せっかくのリクオ様誕生日記念文なので、フリー文としました。もし宜しければ、御自由にお持ち帰りください。その際一言頂けると、大変嬉しく思います。


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