2010年リクオ様お誕生日記念
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チク、タク、チク、タク
時計の振り子がゆらゆら揺れて、少しずつ、少しずつ、長針が歩を進めていく。
そして、短針と長針が、真上を指して重なった。
「お、もう12時かー。」 「そろそろ、オレは寝るよ。」 「おれは、まだまだこれからだもんね。」 口々に言って散らばる小妖怪達。 「明日の準備は、ばっちりだからな。」 「朝になったら、誰が一番にリクオ様に言うか、クジを引こう。」 「おう、そうだ、そうだ。」 皆、わらわらと茶の間に集まっている。 明日は、リクオの誕生日を祝うため、屋敷中が総出で準備を進めている。 皆で協力し、誕生日プレゼントも用意した。 皆が見守り、育ててきたリクオが、また一つ年を取り、頼もしく大人になっていく。 皆がそわそわと夜明けを待つ中で、当の本人は自室でうたた寝をしていた。 「…リクオ様、リクオ様…。」 ごろりと横になるリクオの肩を、そっと揺さぶるのは側近のつららだ。 「ん…。も少し…。」 リクオはそう言って、気怠げに寝返りをうつと、つららの腰に手を回す。 「ちょ、ちょっと、リクオ様、起きてください!お布団で寝ないと風邪を引きますよ!」 頬を染めて抗議するが、リクオは面倒そうにちらりと片目をあけてつららを見上げた。 「…添い寝、してくれるかい?」 「もう、巫山戯てないで、起きてくださいってば!」 頬をふに、と摘まれて、リクオは仕方なく体を起こす。 「…なんだ。まだ30分も寝て無いじゃねぇか。」 時計を見て、顔をしかめたリクオだが、その肩にするりと白い腕が回された。 「お…?」 驚いて目を向けると、真正面に座ったつららが身を乗り出し、リクオの頬にそっと両手を添えた。 「!」 いつもは恥ずかしがって、自分からしてくることなど皆無なのに。 いかなる事だろうか、と驚きながらも僥倖に目を細めていると、つららは身を離して、リクオに抱きついた。 「お誕生日、おめでとうございます。」 と、声がして、ピタリと手を止めた。 「…え?」 つららを抱きしめていた腕の拘束を取ると、つららはリクオの腕の中、座り直してもう一度言った。 「リクオ様、お誕生日、おめでとうございます。」
ボーン、ボーン…
柱時計が12回、鐘を鳴らして、日が明けたことを屋敷中に知らせる。
毎年、趣向を凝らし、リクオを喜ばせようと必死だ。
特大のケーキも、明日に女衆が用意する。大広間の飾り付けも済んだし、酒の用意もぬかりない。
その、なんと嬉しいことか。
酔ったリクオに膝を貸して居たのだが、いつの間にか眠ってしまったのだ。
金色の目がキラキラと輝き、長い睫毛がリクオの睫毛と絡まりそうなほどに顔を寄せると、つららはそっとリクオに口付けた。
白く柔らかな体を抱きしめ、随分と積極的だな、と押し倒そうとしたが、耳元で