ちゅんちゅん・・・
「リクオ様~、朝ですよ、起きて下さい~い。」
ガラリと障子を開けて、つららがリクオの部屋の様子を伺う。
最近は自分が来る前に起きている事の多いリクオであったが、今日は珍しく布団の中でぐっすりと眠っているようだ。
「あら?珍しいわね。
リクオ様、起きて下さ~い。遅刻しちゃいますよ~。」
布団の中に完全に潜り込んでいるリクオの体をゆさゆさと揺するが、生憎と布団の主には一行に起きる気配が無い。
「もう、どうしたのです?・・・ま、まさかお身体の加減が悪いのでは!?」
もしや風邪でも引いたのではないかと、慌ててつららが布団に手をかけ捲ろうとした所、その布団の中からニョキリと腕が出てその手を握りしめ、つららを布団の中へと引き摺りこんだ。
「わ、若!?」
「なんだ、起こす振りして夜這いか?随分と大胆だな。」
何を言っているんだと、布団の暗闇を自分に抱きつくリクオと共に振り払うように、つららは膝立ちになってガバッと布団を放りだした。
「おい、何やってんだ眩しい・・・眩しい?」
リクオはキョロキョロと周囲を・・・とりわけ開けられた障子の向こうの景色を眺めている。
「リクオ様、もしかして寝ぼけているのですか?」
「あ・・・いや、今、ほんとに朝なんだな。」
ポカーンとしながら差し込む朝日とつららを見比べてるリクオに、つららは訝しげな表情をしながらリクオの額に手を当てる。
「リクオ様、やっぱり熱があるのでは・・・」
「ねぇよ。というか、おい、つらら、鏡は持っているか?」
「は、はい。ここに。」
何時もとは全く違う・・・いや、今では無い時間にによく覚えのあるリクオの物言いに、つららは戸惑いながらも懐から手鏡を取り出し、リクオに手渡した。
その手鏡を覗きこんだリクオの目が、驚愕に見開かれた。
「なんで・・・昼の姿なんだよ・・・」