暫らく見つめ合っていた二人だったが、リクオは何かをふと思い出しニヤリと笑う。
「ああそうだ、『仲良く共白髪』ってやつだな。百年後だろうが、隙あらばチャンスは逃さねぇぞ。」
「リクオ様、その使い方はどうかと・・・。第一人目と言うものが・・・」
だからこそ今回は諦めたのだが、それはそれ。とリクオは思う。
「見せつけてやればいいじゃねぇか。そのうちそれが『当り前』になるから、誰も気にしねぇよ。」
「私が気にします!」
「そうかねぇ・・・」
時には人目も気にせず大胆な行動を取るくせに・・・とリクオは思うのだが、そこは敢えて黙っておくことにした。
言った事で人目を気にしすぎるようになっては困るし、昼間の自分はともかく、今の自分はつららのそうした行動を大いに楽しんでいる。
藪蛇をつつくような真似はしたくないと、リクオはニヤニヤと笑うだけに止めておいた。
「あ、でもリクオ様、共白髪と言っても・・・」
急に何かを思い付いたように、つららは明るい声でリクオに問いかけてくる。
「リクオ様は既に白髪なのではありませんか?」
「し、白髪?」
「はい。」
確かにリクオの髪は、白髪と言えない事も無い。
いや、年齢の事を考えれば、白髪では無く銀髪と表現するのが正しいはずなのだが。
「いや、それなんか違くないか?
白髪ってのは色が抜け落ちてなるもんだし、半分は黒いだろ?」
「ああ、でもリクオ様は総大将によく似ておられますから・・・」
じっと自分の髪の毛を見つめるつららの様子に、リクオはなんだか嫌な予感がした。
今までの経験から、この下僕がまたとんでもない事を言うのではないだろうかと思うと、リクオは冷や汗がたらりと背筋に垂れてきたのを感じる。
そんなリクオの心情などしらず、つららは屈託のない笑顔のまま、とんでもない事を言った。
「白髪になる前に髪の毛が無くなりますよね、きっと。」
「!?」
それはつまりハゲになるって事だという意味なのか!
やっぱり前に雪麗さんが言っていた事を気にしていたのか!
というか、いつまでそれを引っ張る気なんだ!!
ピキーンと固まったリクオを他所に、つららは何時もようにニコニコと笑いながら話し続けている。
「それによく考えてみたら、私の場合は数百年程度じゃ、白髪になる事なんてまず無いですし・・・」
「ちょっと待て、あれは物の例えってやつだろうが。
よーはいつまでも一緒に居たいっていう・・・」
何でこんな事を説明しなくてはならないのかと、リクオはなんだか情けなくなってきた。
これではムードも何もあったものではない。
「ああ、でも大丈夫です。ちょっと待って下さいね。」
「は?」
どろん・・・とつららが突然変化すると、そこには以前夏祭りの時に見た、あの氷のような青みがかった透明色の髪の毛になったつららが居た。
「・・・」
「どうです?私の方もちょっと違いますが、これで『共白髪』ですね。」
思わずつららの髪の毛に見惚れていたリクオだったが、つららのなんとも妙な『共白髪』の使い方に笑いがこみあげてきた。
「そんなに急いでどうすんだよ。
・・・ま、これはこれで、俺たちらしくていいか。」
「そうでしょう?」
嬉しそうにニコニコと笑うつららに、リクオはスッと盃を掲げた。
「せっかくだ、今日はそのままの姿で酌をしてくれ。
いい酒の肴になりそうだ。」
「はい、リクオ様。」
ピシャーン! というおバカなシーンを思い付いて、こんな物が出来上がりました。いかかでしたでしょうか? しかし、どうも話の感じがころころ変わってしまっていて、纏まりがありませんね。
その夜もまた、仲睦まじく酒を飲むリクオと晩酌をするつららの姿が見られたそうな。
end
「つらら、お前とは仲良く共白髪になれれば良いな。」
「でもリクオ様の髪って、白髪になる前に無くなっちゃいますよね。」
気が付けば、なんだか怪しい前半部分が出来ていましたが。
やはり夜のリクオが出てくると、どうしてもそっち方向に進んでしまうようです(笑)。
もう上手に話を書ければ良いのですがねぇ。