これも立派な装備

つららはリクオの部屋に特別に設置された畳みの上で、目の前に並べられた3つの防具・・・らしきものをじっと睨みつけていた。
もうかれこれ1時間にはなるだろうか。彼女は身じろぎ一つせずに、じっと防具を睨み続けている。

「ねぇ、つらら。まだ決まらない?」
「ふわっ、リクオ様!?い、いえ、それがなかなか決まらなくて・・・。」
「もう、何時までかかってんのさ。早く決めてよね。」

つららが悩んでいた間に友人との打ち合わせにお風呂まで済ませてしまったリクオが、つららの目の前にドカッと腰を下ろす。

「そ、そんな事を言われましても・・・本当にこれ、防具なのですか?」
「そりゃ、もちろん。だからほら、どれを装備するか、早く選んで。」
「うう・・・。」

つららの目の前にあるのは、どう見てもただの室内着と、水着と、そして下着。

そう、実はこれは全て『防具』であり、リクオはこの防具のうち好きなのをつららが装備していいと、選ぶように迫ってきたのだ。

「だってこれなんか、どう見ても水着ですよ?しかもこんな布の少ない・・・。」
「うん、伊達に『きわどいビキニ』っていう名前じゃないよね。」
「そ、そんな名前なんですか!?」
「しょうがないじゃないか。この防具の正式名称なんだし。」

きわどいビキニを手に取り、その頼りない腰布の部分を見てつららは顔を真っ赤に染める。
リクオ様はこんな物を着て私に戦えというのだろうか、とあられもない姿で戦う自分の姿を想像してしまい、耳の先まで真っ赤になって縮こまってしまった。

「こっちも凄いよね。『あぶない下着』だってさ。」
やっぱりそれ下着じゃないですか!!下着姿で外に出ろっていうんですか!?」
「ちがうよ~、ただの防具の正式名称。これは防具なんだから、下着じゃないよ。」

そう言って、リクオは『あぶない下着』を手に取りつららの前で広げる。
それはどう見ても「大人の下着」という雰囲気を持つ黒く艶めかしい下着にしか見えない。

「ほんとにそれ、防御効果あるんですか?学校の制服より高いなんて信じられません。」
「何言ってんのさつらら、あるに決まってるじゃないか。着てみれば判るって。」
「こ、これをリクオ様の前で着ろっていうんですか?」
「うん。」

下着を両手の指で広げたまま、ニコニコとリクオはとても嬉しそうな笑顔をつららに向ける。

「そんな事できるわけないでしょ~~~!!
 もう、これにします!!」

全身真っ赤に染まったつららはそう叫ぶと、室内着を掴みとりそのまま自室へと歩いていった。

その室内着にせよ、薄い生地でできた体のラインがはっきり見えてしまうような、普段の彼女なら決して身に付けないようなモノである事を、この時つららは完全に失念していた。

 

結局、そのインナー姿を披露した途端、リクオが盛大に鼻血を吹き出してしまったために、つららは『ジャージ』という名の防具を装備することになったという。

「うーん、他の女の子が装備してても気にならないのに、やっぱり普段隠しているから、その落差のせいで余計に驚いちゃうんだろうな、きっと。」
「リクオ様だけだとオイラは思うんですけどね~、そこまで反応するのって。」
「そう?」
「うん。」

 

end

 

リクオ様による公式セクハラの巻。
序盤で本当に手に入る防具で、しかもちゃんと防御力や付加効果があったりします。
なので、効果のある防具が手に入ったので、前衛のつららに真っ先に身につけてもらおう、ということになっただけでして、決して他意は無い・・・はずです。
ええ、たぶん。きっと。

なお、『きわどいビキニ』はドワーフゆらさんが身につけました。
さすがはお色気担当(^^)。
ちなみに『あぶない下着』は牛頭丸・・・・変態まっしぐらですね(笑)。


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