雪女toお風呂!!その3

「なんだ手前ぇら、だらしねぇな。そんなに雪ん子が怖いのか?」
「うわ・・牛頭丸だ。」
「いたのか?」
「というか、自分の立場分かってんのかな。いい度胸だぜ。」

名乗り出てきた牛頭丸に、誰もが驚きの色を隠せない。
その理由は色々あるのだが、やはり最大の理由は、普段何かにつけつららに難癖をつけてからかったり悪口を言う牛頭丸に、つららが敵意を感じる事はあっても好意を感じる事などある訳がない、と皆が思うからだ。
この無謀な挑戦にざわつく観衆だったが、当の牛頭丸は何故か自信たっぷりだ。

「ふふん、この俺様が雪ん子如きの冷気にやられるかってんだ。」
「ねぇ、牛頭丸。やっぱ止めた方がいいんじゃないかな。」

そんな牛頭丸の後を、馬頭丸が心配そうな顔をしながらついてきていた。

「うるせえぞ、馬頭丸。くくく、雪ん子の驚く顔が目に浮かぶぜ。」
「・・・呆れる顔になるんじゃないかなぁ。」

そう馬頭丸は牛頭丸には聞こえないように呟いたつもりだったが、残念ながら地獄耳の牛頭丸にはしっかりと聞こえたらしく、ゴンッという音と共に馬頭丸は地面に沈んだ。

「お前はそこで見ていろ。」
「ひ、ひどいよ牛頭丸。せっかく心配したのに!」

まるで子どものように涙を流しながら両手を振って抗議する馬頭丸をそのままに、牛頭丸はステージへと上りつららを見下すような体勢で立ち止まった。

「おい、雪ん子。」
「なによ。」
「人間のリクオがお前と一緒に風呂に入れる訳ねぇだろ?身の程を知れってんだ。」
「なっ!!」

つららがキッと牛頭丸を睨みつけるが、逆に満足そうな顔をして牛頭丸はニヤリと笑うと、堂々と服を脱ぎふんどし一丁になった。

「きゃあ!な、なんて恰好するのよ!」
「何言ってんだ。服着たまま風呂に入るバカがいるかよ。」
「だ、だからってこんな皆の前で・・・!」

真っ赤になった顔を手で隠しながら背けるつららを見て、牛頭丸はさらに嬉しそうにニタリと笑い、ふぃと顔をつららの向こう側に向ける。
その先には、面白くなさそうな顔をして牛頭丸を睨むリクオがいた。

「おっと牛頭丸、それ以上脱いだら駄目だぞ。他の者にも言っておくが、氷風呂には水着姿で入ってもらうからね。」

放っておけば調子に乗ってふんどしまでも脱ぎかねないと、首無が牛頭丸を注意する。

「ふん、そこまで馬鹿じゃねぇよ。さて、じゃあ入らせてもらうぜ。」

そう言って牛頭丸がプールに入った途端、その全身を氷が覆い完全に固まってしまった。

「「あ~~、やっぱり。」」

皆が予測した通り、つららの最大冷気で完全に氷漬けになってしまった牛頭丸に、誰も同情する事はなかった。
一人を除いて。

「だから駄目だって言ったのに~~~~!牛頭丸~~~!死んじゃ嫌だよ~~~~!!」
「あ~、すっきりした。」

 

 

まず最初は鉄板ネタで。
牛頭丸は、つららを(ついでにリクオも)からかえると思ったら、その先の事まで考えずに実行に移す、そんなキャラであってほしいです(笑)。
つららにもガス抜きをしてもらった事だし、どんどん弄って遊びたいですね。

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