ザーーーーー
翌日の朝もまた大雨で、リクオは盛大に溜息を付いていた。
「また濡れるのかー。」
「若ー、しょうがありませんよー。」
昨日の今日では憂鬱になるのも仕方が無い事なのだが、だからと言って朧車で登校する訳にもいかない。
なんとか宥めて遅刻しないように学校に行かせようとする氷麗を見ているうちに、リクオはふとある事を思い立った。
「そうだ、氷麗。」
「なんですか?リクオ様。」
「昨日やっていた、冷気で雨をどうにかするのって、氷麗の服ででしか出来ないの?」
「えーと・・・」
何を突然言い出すのか・・・と氷麗は思ったが、自分の冷気を出している感覚を思い出しなんとか答えようとする。
「そうだ、実際に外に出て試してみましょうか。」
そう言って氷麗は傘をさして外に出た。
リクオの見守る中、しばらく外で冷気の出し具合を測っていた氷麗だったが、やがてリクオの方を向くと、残念そうに首を振った。
「ん~、せいぜいこの傘の中ですね。それに結構むず・・」
「それなら何とかなりそうだね!」
「え?」
氷麗の言葉を最後まで聞かずに、リクオは自分の傘を傘立てに入れると、そのまま氷麗の傘の下へと入り込んだ。
「あのっ、リクオ様!?」
「ほら、こうやって一緒の傘に入れば、濡れずに済むってことでしょ?」
「え?で、出来ない事も無いとは思いますが・・・」
突然間近に入ってきて自分の顔を覗き込んでくるリクオに、氷麗の胸は高鳴り驚き戸惑ってしまう。
そんな氷麗に、リクオはさらに顔を近付かせて、目は笑いつつも困ったような顔をしながら氷麗に囁く。
「良いアイデアだと思ったんだけどなぁ・・・無理?」
「頑張ります!任せて下さい!」
完全にリクオのペースに嵌められた氷麗が、元気よくリクオの望んだ答えをだす。
そんな二人のやり取りを、廊下から首無が頭を抱えて見ていた。
「若・・・そんな事をするために私からアレコレ聞いていたんですか・・・。」
「どうすんのよ首無。若をタラシにでもするつもり?あれ、あんたのせいでしょ。」
「どうしろと言われても・・・」
頭を痛める首無と毛倡妓を他所に、リクオと氷麗は一つ傘の下で登校していった。
「若・・・オレとじゃ駄目なんですか~~~~~!」
そんな中、青田坊だけが、見当違いな涙を流していたらしい。
青、あなたじゃ駄目です(笑)。
思った以上に長くなったため、切りのいい所で一旦区切らせてもらいました。
これだと今度はこれが短すぎるんですけどね。
そんなわけで、今回は続きも同時に掲載しました。