仲間を集めよう ~2

「結局あれはいったい何だったんだろう?」
「さあ?それよりもリクオ様、そろそろお昼にしましょう。」
「あ、もうそんな時間か。今日のおかずは何?」
「はいっ♪今日は鶏肉とピーマンのカレー風味揚げと、かぼちゃサラダです。」
「え~~、ピーマンいれたの?」

リクオが口を尖らせ嫌そうな顔をすれば、食べやすく工夫しているから大丈夫ですよ、とつららは好き嫌いがまだある事をたしなめる。
顔は嫌がる風でありながら、リクオは明らかにそのやりとりを楽しんでおり、それはまたつららも同様にしか見えない。
リクオにしてみれば、誰かの、特につららの世話になるのは昔からの当たり前のことであり、今やっていることもそれと同じ過ぎないし、つららにしてみても、これはリクオに対して昔からやっている事の延長にしか過ぎないのだが、事情を知らない者達から見れば、それはどう考えてもとても仲の良い恋人同士にしか見えないだろう。
そんな二人を河童は少し離れた場所で見守りながら、ボソリと呟いた。

「人目を憚らずにそういう事してるから、誰も仲間になりたがらないんだけどなぁ。
 それともリクオ様、判ってやっているのかな?」

リクオとつららの度の過ぎた仲の良さはあっという間にクラスの噂になり、しかも同じ部屋で寝泊まりしている事までバレているというのに。
バの字のつくカップルと共に冒険をしたがる者など、そうそう居るものではなかろう、と河童は思うのだが・・・

そんな河童の心配など他所に、今日もリクオとつららは日当たりの良い中庭で、仲良くランチタイムを楽しみ始めた。
そしていつものように会話を弾ませていると、ふらふらと何者かが二人に近付いてくる。

「うう・・・お腹すいた~~~。」
「え?誰?」
「何者!?」

二人が声のした方へと振り返ってみれば、見た事のないドワーフがドサリと床に崩れ落ちた所だった。
慌ててリクオがそのドワーフを抱き起し、つららも心配そうにその前に膝をつく。
良く見れば、そのドワーフは同じ新入生の女の子のようだ。

「だ、大丈夫!?」

グゥ~~~~~~~~

「・・・えーと、お腹が空いているの?」

グゥウゥ~~~~~~

「お腹で返事しているね、つらら。」
「そうですね、リクオ様。どうします?」
「ほっとく訳にもいかないだろ。ほら、これ食べなよ。」

リクオが自分の弁当を差し出した途端、ドワーフの娘はガバッと跳ね起きると、目を煌々と光らせながら、物凄い勢いでリクオの差し出したお弁当を食べ始めた。

「うまいっ!こんないーもん食ってんのか!羨ましいやろ!」

二人ともその勢いに圧倒され茫然と見守っているうちに、あっという間に弁当の中身は空っぽになってしまった。

「は~~~~~、ほんま美味かったわ~。」
「ははは、よっぽどお腹が空いていたんだね。」
「助かったわ、おおきに。」
「気にしなくていいよ。」
「そういうわけにもいかん。何か恩返しをんとな。」
「恩返しって、そんな大げさな事した訳じゃないんだし。」
「いいや、私の気が済まん。
 ・・・そうや、あんた、確か仲間集めとったな?」
「え?まぁそうだけど。」
「これも何かの縁や。仲間にしてもらうわ。」
「ええ!?」
「私の名前はゆら。狂戦士学科に入っとるから、前衛は任しといて。」

 

こうしてようやくリクオ達に一人目の(奴良家とは関係のない)仲間が出来た。
この後、東の大陸にいた頃につららに一目惚れしていた牛頭丸という名のフェルパーの侍が、たまたまを装って(実際は二人の跡をつけて入学して来た)姿を現し、『仲間がいねぇなら俺がなってやるよ。』と恩着せがましく仲間になり、そしてリクオと息の合った友人となったフェアリーの鴆が、『傷見てくれる奴がいねぇじゃねぇか。』と強引に仲間になった。
あと一人盗賊系の仲間が欲しかったのだがどうしても見つからなかった為、リクオは泣く泣く河童を仲間に加えたという。

そしてついに、リクオの冒険が始まるのであった。

 

end

 

ゆらと仲間になるなら餌付けが一番と思ってしまい、こんなネタになりました(^^)。
牛頭丸や鴆についてももっと掘り下げようかと思ったのですが、なんとなく面倒ではしょってしまいましたね~。
キャラへの愛情の差でしょうか(笑)。


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